LOCAL HERITAGE 地域遺産紹介

受け継がれる歴史・文化・自然

林糀製造所

耐火性に優れた明治時代の『蔵』

林糀製造所は、明治時代創業の糀と味噌などを製造販売しているお店です。
創業者は、愛知県知多の出身で、戦前まで酒造りをしていた間渕商店の杜氏を務めていた方だそうです。明治時代は大火が多く、火事に遭っても焼け残るようにと頑丈で隙間のない蔵を建てました。そのため、太平洋戦争の浜松大空襲でも蔵の中に火が入ることがなく、焼失を免れることができました。
この蔵は、代々、糀造りの原料となるお米の保管庫として使用してきました。外気が入らず、温度や湿度の変化の影響を受けることがないので、大切なお米の保管にはとても適しています。明治時代から受け継がれてきた“味”を守る大切な蔵でもあるのです。

林糀製造所

糀の行商に使った木桶

林糀製造所は、明治時代の創業で、この桶は、初代が天秤棒に桶二つを担いで糀を売り歩いていた際に使用していたものである。担ぐために、桶の板を薄くして軽くしてあるのが特徴。
現在は、店舗を構えて商いをしているが、当時は、一般家庭でも自家製の味噌を造っていたために糀の需要が多く、行商による商い方法がとられていたと思われる。
これも太平洋戦争による戦火をくぐり抜け、往時の食文化を伝える貴重な民具の一つである。